Nightwishの新作「Human. :II: Nature.」レビュー

  


2020年4月10日発売


Disc 1

1. Music
2. Noise
3. Shoemaker
4. Harvest
5. Pan
6. How’s the Heart?
7. Procession
8. Tribal
9. Endlessness

Disc 2

1. Vista
2. The Blue
3. The Green
4. Moors
5. Aurorae
6. Quiet as the Snow
7. Anthropocene (includes “Hurrian Hymn to Nikkal”)
8. Ad Astra


人間と自然をテーマにした前作の続編となるNightwishの新作が登場

フィンランドの国民的シンフォニックメタルバンドNightwishの約5年ぶりの新作。
前作の24分にも及ぶ大作The Greatest Show on Earthで究極のシンフォニックメタルを作り上げた彼らだが(個人的意見)、新作はどうなっているのか。

アルバムは2枚組で人間をテーマにしたヒューマンパート(Disc 1)とネイチャーパート(Disc 2)に分かれていて、ヒューマンパートでは歌モノである9曲の楽曲、ネイチャーパートではインストゥルメンタル大曲1曲を収録している。

路線として特に大きく変化はなくEndless Forms Most Beautifulと同路線。
巨大になったバンドにはたくさんのファンが存在しプレッシャーもあると思うが、ここで聴くことの出来る新曲は驚くほどに自然体だ。
前作の24分の大作にはとてつもないエネルギーが注入されていたが、今回の新曲から感じることが出来るのは自然体な楽曲だ。
あくまでアイディアに任せるままに自然に作られたようなNightwishの新曲が聴けるアルバムだ。
まずどの曲もタイトルが素晴らしいと思う。
Musicなんてタイトル余程音楽に自信がないと付けられないだろう。


先行シングルは2曲目のNoiseだった。
メッセージ性のあるPVで話題になった。
この曲はアルバムへの期待を抱かせるのに十分な魅力的な楽曲だった。
Nighwishとしてはややパワーメタル寄りな楽曲で、サビ終わりのハイトーンからダークなリフへの流れが非常にカッコ良く発表以来何度も聴いてきた。
現在のNighwishのトレードマーク的な曲で、ライブでも映えること間違いなしだろう。

NIGHTWISH – Noise (OFFICIAL MUSIC VIDEO)

↑ 先行シングルNoiseのミュージックビデオ

その次に発表されたシングルが4曲目のHarvestで、ボーカルにイリアン・パイプス奏者のトロイがフィーチャーされている。
最近のNighwishらしい牧歌的でケルティックさもある曲で、大自然の映像が浮かんでくるようなサウンドスケイプが素晴らしい。
後半のバンド演奏+イリアン・パイプスのインストパートがハイライトだろう。
キーボードも絡んできて美しい。

このアルバムでは他の楽曲でもトロイが歌うパートが出てくる。
(メインで歌ってるのはこの曲のみ)
歌唱力がある感じではないのだが、とても温かみのある優しい声をしていてNightwishに新たな癒しを与えてくれている。

NIGHTWISH – Harvest (OFFICIAL LYRIC VIDEO)

↑ Harvestのリリックビデオ

Panは緊張感のあるヘヴィなリフから始まるスリリングな曲。
パワーメタル然とした雰囲気も感じ、キーボードの使い方など何処かバンドの初期を思わせる楽曲だ。
作りも凝っていて中々強力なナンバーであることは確かで、この曲もライブで盛り上がること間違いないだろう。

How’s the Heart?は典型的なNighwishの歌モノナンバーで、アルバムのハイライトの一つと言えるだろう。
イメージ的に前ボーカルのアネットが歌っていたらもっとフィットしていたかもしれないポップさのあるキャッチーな楽曲だ。
ケルティックなイントロも印象的であまり多用されないのが逆にいい。
2回目のサビが終わった後のボーカルパートも非常に魅力的で隙がない。

バンドに加入以降お馴染みであるベーシストのマルコの歌唱はラストのミドルテンポ~バラードナンバーEndlessnessで登場する。
壮大な雰囲気の楽曲はDisc 1のヒューマンパートを締め括るに相応しい。

Disc 2のAll the Works of Nature Which Adorn the Worldはツォーマスのサントラ的音楽への憧憬が表現されたような楽曲。
バンド演奏やボーカルはなしでフル・オーケストラがフィーチャーされている。
(多少の語りは入っている)
ボーカルがなくメロディのはっきりしない雰囲気モノっぽい箇所もあるので通しで聴くのは集中力が必要だが、このアルバムの世界観を表現するために絶対必要な曲であることは間違いない。
Disc 1は即効性のある歌モノ的な楽曲が収録されていて理解しやすいが、ファンとしてはこっちを聴き込む楽しみが用意されいているのが嬉しい。

総評

Disc 1の後半では少し弱いと感じる曲も入っているが、全体としてはファンが失望することはないと言える。
ただ5年待たせたわりには案外とラフな作りの楽曲に多少の肩透かし感は無きにしも非ず。
天下のNightwishだけにその期待は半端ではないのである。
やはりボーカル入りの大作が1曲は欲しかったと個人的には思う。
しかし普通の基準で考えれば超ハイクオリティなシンフォニックメタルではあることは確かで、何曲かはバンドのヒストリーのハイライトになっていると思う。
前作を聴いた時も多少の肩透かし感はあったが今では傑作だと思っているので、このアルバムも時が経てば印象は変わるかもしれない。

点数

87点

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