1. Semendria (Featuring Mark Boals)
2. Eternal Fight (Featuring Tim Ripper Owens)
3. Raise Your Fist
4. Like A Fire Electrified
5. Cant Bring You Down
6. The Calling
7. Visantia (Featuring Fabio Lione)
8. Beyond Belif
9. From East To West
ヨーロッパ的感性が美しい、好き者にはたまらないパワーメタルサウンド
今回初めて日本盤が発売となったセルビアのパワーメタルバンドの6枚目のアルバム。
ファーストアルバムは2002年と、意外と古くから活動しているようだ(全然知らなかった)。
全く流行りの音ではなく何故今日本盤が発売されたのか不明だが、マーク・ボールズやティム “リッパー” オーウェンズなど著名なシンガーがゲスト参加していることが注目を集めたのかもしれない。
さてそんな彼らのサウンドはどんなものなのか。
楽曲レビュー
#1“Semendria”はキャッチーなパワーメタルナンバーで、マーク・ボールズ(元Royal Hunt)がゲスト参加している。
というか殆どメインで歌っていて、このキャッチーな歌の魅力をより高めている。
伸びやかな歌声は相変わらずで、やはり素晴らしいシンガーだと再確認。
途中フルートの入ったプログレッシブなパートが挿入されていて、これが彼らのサウンドの特徴の一つだろう。
所謂プログレ寄りのパワーメタルサウンドである。
#2“Eternal Fight”はティム “リッパー” オーウェンズ(元Judas Priest)がゲスト参加していて、こちらも相変わらずの金属的超絶ハイトーンを聴かせてくれる。
この曲もネオクラシカルパワーメタルの佳曲と言える。
#4“Like A Fire(Electrified)”はちょっとポップなサビが印象的なナンバー。
キーボードの音色が80年代のスペイシーな雰囲気を醸し出す。
途中のネオクラ的パート(ピアノとヴァイオリンによる美しい絡み)はこの手の音楽が好きな者にはたまらない。
あぁ、ヨーロッパの人が作る音楽だよなぁ、これ、という感じ。
これなのだ、これがヨーロッパ人の作る音楽なのだ。
#5“Cant Bring You Down”もネオクラシカルパワーメタルと言えるが、ソロが素晴らしい。
このブランコヴィッチ兄弟によるソロがこのバンドのアピールポイントの一つでもあるだろう。
どの曲でも流麗な美しいソロを聴かせてくれる。
プログレメタルっぽい雰囲気とメロディの#6“The Calling”に続く#7“Visantia”はファビオ・リオーネ(Rhapsody of Fire/Angra)が参加しているパワーメタルナンバー。
フルートによるイントロから引き込まれる。
ファビオがかなり多くの部分を歌っていて、間奏は彼ららしいプログレッシブサウンドを聴かせてくれる。
ラストを飾る#9“From East To West”も素晴らしい。
ヨーロッパ的感性による美しいインストナンバーで、ピアノとヴァイオリンによるアンサンブルが美しい。
総評
プログレメタルっぽさはほのかに漂わせる程度で、基本的にストレートなパワーメタルである。
音質はいかにも辺境のバンドという感じで変に籠ったサウンドだが、中々キャッチーでコンパクトな曲作りをしていて好感の持てるバンドだ。
B級メタルバンドの中では最高峰のレベル、という感じの立ち位置だろうか。
とにかく全編に流れるヨーロッパ的美的感性が心地良く、好き者(私)には刺さるサウンドである。
全くモダンさのない2000年前後という雰囲気の古風なパワーメタルを、この時代にこのレベルで聴けること自体が貴重である。
少なくともこのアルバムではキャッチーな歌メロ作りをしていて、B級っぽさを感じながらも中々聴けるアルバムとなっている。
そしてブランコヴィッチ兄弟によるギターソロは流麗でテクニカルで美しく、このバンドの一つのアピールポイントとなっている。
好みの音楽性なのでやはり点数は高めになるが、このバンドが一般のヘヴィメタルファンに受けるとは全く思わない。
しかしパワーメタルやネオクラシカルメタルが好きな人にとっては一聴の価値のあるアルバムだ。
点数
84点
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