Powerwolfの新作「Call of the Wild」レビュー

  


2021年7月16日発売


1. Faster than the Flame
2. Beast of Gevaudan
3. Dancing with the Dead
4. Varcolac
5. Alive or Undead
6. Blood for Blood (Faoladh)
7. Glaubenskraft
8. Call of the Wild
9. Sermon of Swords
10. Undress to Confess
11. Reverent of Rats


ふんだんに盛り込まれたクワイヤ、荘厳なストリングスと、Powerwolfのトレードマークとも言えるサウンドが刻まれている

ドイツの白塗りパワーメタルバンドPowerwolfの新作にして8thアルバム。
4thアルバムBlood of the Saints以降不動の盤石のメンバーにより制作され、プロデュースはイェンス・ボグレンとヨースト・ファン・デン・ブルークによるダブルプロデュース。

ド直球で漢臭くドラマティックな、典型的ヨーロピアンパワーメタルで人気を博してきたバンドで、音楽性が完全に確立されているバンドでもあり、突然音楽性を変えることなどないことは想像に難くないが、新作はどうなっているのか。

楽曲レビュー

#1“Faster than the Flame”は典型的なPowerwolfのパワーメタルナンバー。
熱いクワイヤ、疾走感、キャッチーなメロディと、Powerwolfに求められている要素をすべて兼ね備えている。
これぞ、Powerwolfであり、ファンならガッツポーズ間違いなしだろう。

#2“Beast of Gevaudan”はアルバムからのファーストシングルで、ミュージックビデオも作られたシンフォニックなナンバー。
クワイヤがふんだんに使われていて、豪華な雰囲気を醸し出している。
チャーチオルガンも印象的に使われていて、サビは相変わらずキャッチーだ。

#3“Dancing with the Dead”は強烈にキャッチーで普遍性もあるクサメロのサビが印象的なナンバー。
セカンドシングルになりミュージックビデオも作られたのも納得のクオリティだ。
典型的なパワーメタルではなく、ちょっとポップさもあるのがミソだ。

#4“Varcolac”はイントロから、荘厳なクワイヤとチャーチオルガンのコンビネーションが印象的な曲。
クラシックからの強い影響、宗教的な雰囲気と、Powerwolfの個性が炸裂している佳曲だ。
正にヨーロッパのバンドにしか出来ないような曲である。

#5“Alive or Undead”はピアノがフィーチャーされたこのアルバム唯一のバラード。
バラードと言っても甘い雰囲気ではなく、クワイヤも入っていて荘厳で物悲しい雰囲気。
サビでは広がりのある壮大な雰囲気になる。

#6“Blood for Blood (Faoladh)”はバクパイプを取り入れたフォーキッシュなナンバー。
メロディも明るい感じで、新しい領域に踏み込んだ曲と言える。

#7“Glaubenskraft”は壮大なクワイヤとストリングスがフィーチャーされた、ドイツ語で歌われるミドルテンポのナンバー。

タイトルチューンの#8“Call of the Wild”はアニメソングのような、ダサかっこいいイントロが印象的な曲。
疾走感がありツインギターによるソロも登場と、ライブで盛り上がりそうなナンバーだ。

#9“Sermon of Swords”もゴージャスなクワイヤが印象的な、典型的なPowerwolfのパワーメタルナンバー。
他の曲と比べるとあまりサビにキャッチーさはないかもしれない。

またもキャッチーなサビを持ったナンバー#10“Undress to Confess”に続く、#11“Reverent of Rats”でアルバムは幕を閉じる。

4曲目のVarcolacと同じタイプのクラシック由来の荘厳な曲だが、Varcolacよりは地味な印象だ。

総評

キャッチーでフックのあるメロディを作る才能を炸裂させた好盤である。
クラシック由来のメロディによる、ヨーロッパ的パワーメタルを今作でも展開している。

ふんだんに盛り込まれたクワイヤ、荘厳なストリングスと、Powerwolfのトレードマークとも言えるサウンドが刻まれている。
ひたすら溢れ出るクサメロに圧倒されるアルバムだ。

アッティラのオペラティックな歌唱をフィーチャーした歌モノメタルでもあり、ここが好みの分かれる所かもしれない。
筆者はこういう歌モノメタル、大好きである。

フォーキッシュな#6“Blood for Blood (Faoladh)”のような新しい要素も入ってはいるが、マンネリを感じなくもない。

だがPowerwolfがやることはもう決まっているようなものなので、それは的外れな批判ということになるのだろう。
完全に音楽性が確立されたバンドであり、その枠において生み出す楽曲のレベルは比類なきものと言える。

ドイツの総合チャートでは2位を記録と、相変わらず凄まじい人気。
ドイツでは先日Helloweenが1位を記録したし、メタル人気は未だ健在のようだ。

Powerwolfはまだまだ日本では知名度が低いようだが、彼らの魅力はライブにあるようなので、未だに来日していないことが要因の一つとしてあるのかもしれない。

コロナ禍が終わり、一日も早く彼らが来日出来ることを祈っている!

点数

87点

お気に入り曲

Beast of Gevaudan、Dancing with the Dead、Varcolac

コメント

  1. カズタカ より:

    powerwolfがいまいち日本で知名度が低い理由はどういう点にあるとお考えになりますか?

    • Hiro より:

      >カズタカさん

      まず日本人が最も好むタイプのパワーメタルである、疾走メロスピから外れるというのがあると思います。
      日本人はハイトーンボイスで歌われる疾走メロスピ、Dragonforceや初期Sonata Arcticaのようなパワーメタルが好きなので、Powerwolfはちょっと無骨すぎるのかもしれません。

      あとは来日していないのでライブの良さが伝わっていない、キリスト教的なイメージが日本人に
      とって馴染みにくい、などもあると思います。

      メロディ的には日本人が好む音楽だと思うので少しずつ人気は上がっていくと思ってますよ!

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