この記事はヘヴィメタルという音楽ジャンルをよく知らないけどこれから聴いてみたい、という人向けの記事になります。
ヘヴィメタルという音楽を聴いたことのない人へ向けて、ヘヴィメタルとはどういう音楽なのか、そして最初にまず聴くべき10バンドと、そのおすすめ曲を紹介したいと思います。
目次
・そもそもヘヴィメタルとは
ヘヴィメタルとは、ロック音楽のサブジャンルの一つになります。
ヘヴィメタルの起源は諸説ありますが、1970年代後半にJudas Priestが「レザー&スタッズ」で知られる、革のジャケットに鋲を大量に打ち込んだ硬質なイメージを打ち出したことが、現在のヘヴィメタルの基本イメージとなっています。
バンドの基本的な構成はギター、ドラム、ボーカル、ベースと通常のロックと変わりません。
これにヘヴィメタルの場合ギターがもう一人、又はキーボードが入ったりします。
・音楽的特徴
音楽的特徴としては歪んだギターサウンドを基本的な特徴としていますが、ヘヴィメタルの中に更に無数のサブジャンルがあり、それによってもかなり音楽性が変わってきます。
しかし基本的なニュートラルなヘヴィメタルのサウンドとしては歪んだギター、テンポの速いドラム、高音域でシャウトするボーカル等が挙げられます。
それに加え基本的なヘヴィメタルは、ギターソロを重視する傾向があります。
基本的に技術志向で、バンドによっては楽器隊がボーカルより目立っているバンドもあります。
・歌詞の特徴
ヘヴィメタルの始祖と言うべきバンドの一つであるBlack Sabbathが、悪魔崇拝やオカルトのようなイメージを打ち出し、これが現在のヘヴィメタルの基本的なイメージとなっています。
ダークでイーヴルでアウトローな雰囲気は、どのメタルのサブジャンルでも概ね共通しています。
しかし歌詞は本当にサブジャンルやバンドによって様々で、このサイトで主に取り扱っているパワーメタルではファンタジーをテーマにした歌詞が多いです。
ロードオブザリングのような、中世の騎士にドラゴンの世界です。
そしてデスメタルでは死、殺人、反宗教など、音楽の苛烈さに伴いよりダークなイメージが多くのバンドで使われています。
これは厨二病患者が好きそうな世界観でもあり、これがメタルがバカにされる一つの要因ともなっています。
しかしこの世界観にワクワクするという人は、ヘヴィメタルを好きになる可能性が大です。
・多様なサブジャンルがあり世界中に数多くのバンドがいる実は奥の深いジャンル
ヘヴィメタルのサブジャンルは正確には分かりませんが、50種類以上あると言われており、今現在も細分化が進んでいます。
実は多様な音楽性を秘めていて、ヘヴィメタルを聴かず嫌いする人でもあるサブジャンルだけは好き、ということもありえるのです。
・最初に聴くべき10バンドとそのおすすめ曲
ここからはヘヴィメタルが気になる人にまず聴いてほしい10バンドと、そのおすすめ曲を紹介したいと思います。
ついでにおすすめ曲の収録アルバムも載せておきました。
Judas Priest
ヘヴィメタルの基本イメージを作り出した伝説のバンドです。
レザージャケットに鋲というメタルのファッションスタイルは、彼らが起源と言われています。
メタルの基本的な音像が出来上がったのはJudas Priestが1980年に発表したBritish Steelではないか、というのは一つの説です。
その硬質なリフを中心としたギターワークは、確かにそれまでのハードロックとは少し違う方向性を示していました。
レジェンドながら現在も活動中。
2018年には新しいオリジナルアルバムも出しました。
Judas Priest – Painkiller
メタルを聴く人なら知らない人はほとんどいないと思われる定番中の定番の名曲です。
ヘヴィメタルってどんなジャンル?と人に聞かれたら、まず自分はこの曲を聴かせます。
高速ツーバスドラムを使ったブルータルなドラム、金切り声、無機質なギターリフと、ヘヴィメタルの典型的な特徴を、すべてこの曲は有しています。
全編に渡る圧倒的な緊張感とパワーは、他の音楽ではなかなか体験出来ないものだと思います。
Helloween
Helloweenはヘヴィメタルのサブジャンルである、メロディックスピードメタルの創始者です。
ちなみにこの呼び方は日本独自の呼び方で、海外ではパワーメタルと呼ばれています。
Judas Priestなどが作り上げたヘヴィメタルをさらに高速にし、アニメソングにも通じるような親しみのあるキャッチーなメロディを加えました。
その後この音楽は、ドラマチックなヘヴィメタルを標榜するバンド達に絶大な影響を与えました。
Helloween – Eagle Fly Free
彼らのやりたい音楽性を分かり易く示した、バンドを代表する名曲です。
高速ツーバスドラムの上に乗るキャッチーで親しみのあるメロディに、心が熱くなります。
Helloweenはこの曲を発表した時代に、新しいヘヴィメタルの方向性を示しました。
←Eagle Fly Free収録のアルバムKeeper of the Seven Keys (Part II)
Metallica
ヘヴィメタルにハードコアの凶暴性を加えたジャンル、スラッシュメタルの起源であるバンドの一つです。
ヘヴィメタルは暴力性や凶暴性を含んだ音楽ジャンルであることは確かで、その部分をより推し進めたものです。
当初はマイノリティしか聴かないと思われていたこのジャンルで、Metallicaはまさかの商業的大成功を収めました。
現在でもトップクラスの売り上げを誇るメタルバンドで、全世界から絶大な支持を得ています。
Metallica – Enter Sandman
スラッシュメタルバンドだったMetallicaが、普遍的なロックの方向へ寄っていったような曲です。
メタルというよりはロックソングという感じもするのですが、シンプルに歌として良い曲です。
メタルファンのみならず、一般の音楽ファンにも十分アピール出来る普遍的魅力を備えた名曲です。
←Enter Sandman収録のアルバムMetallica
Mötley Crüe
80年代にヘヴィメタルは一大ブームを巻き起こしますが、その中心はアメリカから出てきたグラムメタル勢でした。
スプレーで膨らませたロングヘア、濃い化粧、煌びやかな衣装にアクセサリーという、見た目が重要なファクターであるムーブメントでした。
音楽的にはメタルというよりハードロックに近いバンドが多かったのですが、そのシンプルでキャッチーな音楽性は一般の人気を取り込みました。
その代表格が彼らMötley Crüeでした。
2015年に活動停止するも、2019年に活動を再開しています。
Mötley Crüe – Kickstart My Heart
ゴキゲンな疾走ロックンロールソングで、彼らの代表曲の一つです。
グラムメタルバンドの楽曲は基本的にアウンダーグラウンドな雰囲気はほぼなく、陽気なロックソングが多いです。
彼らの曲がツボなら70年代のハードロックもツボる可能性が高いので、AerosmithやLed Zeppelinもオススメします。
←Kickstart My Heart収録のアルバムDr. Feelgood
Slipknot
80年代にはヒップホップとロックを組み合わせたラップロックが生まれましたが、その音楽はヘヴィなディストーションギターを加えたラップメタルや、ニューメタルへと派生しました。
それらにアンダーグランドで生息していた、過激なデスメタルバンドなどの影響を取り入れたのがSlipknotです。
1999年のデビューから爆発的な人気を獲得しました。
アンダーグラウンドなエクストリームメタルの影響を、オシャレでナウい雰囲気に再アレンジしたようなその音楽性は、今までありそうでないものでした。
マニアックな存在だったエクストリームメタルの間口を広げたという意味で、彼らも偉大なバンドです。
Slipknot – People = Shit
撒き散らされる怒りのパワーを感じ取ってください。
これにスカッするか、イラっとするかで、メタルに向いているのか向いていないのかが決まる気がします。
Nightwish
90年代のメタルシーンにて耽美的な方向性を推し進めるバンドが現れましたが、それをさらに推し進め、大仰なシンフォニックサウンド、映画のサウンドトラック的なオーケストラサウンドを取り入れたのが彼らで、それは後にシンフォニックメタルと呼ばれるようになりました。
ボーカルスタイルは女性が裏声でオペラ的に歌うというもので、徹底的に美しさを追及していました。
その後2回のボーカルの交代があったものの、現在でも祖国フィンランドでは国民的バンドとして、絶大な支持を誇っています。
Nightwish – Stargazers
ドラマチックでシンフォニックなキーボードサウンドに、メロディックスピードメタル的な疾走感、更に女性オペラボーカルと、独特な世界観を生み出している初期の名曲です。
Dream Theater
80年代後半のメタルシーンで、正統的なヘヴィメタルに70年代に隆盛したプログレッシブロックの影響を取り入れたバンドが出てきました。
攻撃的な音楽とされていたヘヴィメタルに、知的なプログレッシブロックを掛け合わせたその音楽は、プログレッシブメタルと呼ばれるようになりました。
その音楽性を確立したのがこのDream Theaterであり、もっと言うならアルバムImages and Wordsです。
曲芸とも言えるような超絶テクニカルな演奏、キャッチーなメロディ、プログレッシブロックの深遠さを掛け合わせたその音楽性とクオリティは衝撃的で、このアルバムにより以降数多くのDream Theaterフォロワーを生み出しました。
Dream Theater – The Dance Of Eternity
インスト曲ではありますが、人にこのバンドがどういうバンドかを説明するなら、自分はまずこの曲を聴かせます。
楽器を演奏したことがない人でも、何か凄いことをしていると感じることが出来ると思います。
←The Dance Of Eternity収録のアルバムMetropolis Part 2: Scenes from a Memory
Black Sabbath
ヘヴィメタルの起源には諸説ありますが、Black Sabbathが最初のメタルバンドであるというのは最も有力な説の一つです。
デビューアルバムBlack Sabbathを1970年にリリースした当時から、彼らはダークでイーブルなイメージを打ち出していました。
現在イメージするヘヴィメタルの音像と彼らが初期の時代に出していた音は異なるものの、その執拗に繰り返されるリフを特徴としたダークな音楽は、のちのグランジロックにも影響を与え、メタルだけに留まらない絶大な影響を後続のバンドに与えました。
後にメタルのサブジャンルとして発展する、ドゥームメタルは彼らのサウンドから着想を得ています。
Black Sabbath – Black Sabbath
ダークでドゥーミーな新しい音楽の方向性を打ち出した、歴史的価値のある曲です。
ここからヘヴィメタルのすべてが始まった、とも言えるかもしれません。
←Black Sabbath収録のアルバムBlack Sabbath
Children of Bodom
スラッシュメタルを更に推し進めた過激なメタルのジャンルである、デスメタルが90年代前半のアウンダーグランドシーンでは隆盛でした。
それの北欧勢からの返答の一つが、メロディックデスメタルです。
ボーカルによる歌メロディではなく主にギターによって、デスメタルに北欧独特の叙情的なメロディを加えました。
その音楽性で人気を得たバンドの一つが、フィンランド出身のChildren of Bodomです。
Children of Bodomは更にキーボードの音色も取り入れて、北欧らしい清涼感もあるのが特徴です。
Children Of Bodom – Needled 24/7
ギターとキーボードによってもたらされる、そのテクニカルでメロディアスなサウンドは何処かモダンさもあり、若者の人気を捉えました。
デスメタルでありながら聴きやすい、彼らの魅力が詰まった代表曲です。
←Needled 24/7収録のアルバムHate Crew Deathroll
BABYMETAL
日本からアメリカに進出して成功したメタルバンドと言えば、80年代のLoudnessが少し成功を収めたくらいでした。
しかしその記録をランキング的には上回り、2019年に発表したアルバムMETAL GALAXYをビルボードの総合チャート13位にランクインさせたのが、このBABYMETALです。
バンドというよりアイドルユニットなのですが、音楽的には多彩なメタルや音楽のジャンルから影響を受けた現代的なヘヴィメタルに、キャッチーな日本的なメロディを組み合わせています。
イメージ戦略が上手く、可愛い女の子がゴリゴリのメタルサウンドの中で歌うというそのインパクトで、世界的に有名になりました。
J-POP的でもあり、日本で育ってきた日本人には馴染みやすいアーティストでもあると思うので、メタルの入り口としておすすめします。
BABYMETAL – ギミチョコ!!
1億回超えという驚異的なYouTube再生回数を叩き出し世界にその名を知らしめた、彼女たちの代表作。
モダンで疾走感のあるメタルサウンドの中、突如現れる女の子の甘い歌声は、聴く者を異世界へと誘います。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
ここで挙げた10曲を聴いて頂けたならば、いかにヘヴィメタルが幅広いジャンルであるかということが分かって頂けたかと思います。
もしこの中で気に入った曲があったら、是非そのバンドのアルバムを聴いて頂きたいと思います。
そして一つでもお気に入りのメタルバンドが見つかれば、あなたは立派なメタラー(メタルを聴く人の通称)です。
そこから先はあまりにも広くて深い、ヘヴィメタルの世界があなたを待っています。
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