Timo Tolkki’s Avalonの新作「Enigma Birth」レビュー

  


トラックリスト

1. The Enigma Birth
2. I Just Collapse
3. Memories
4. Master Of Hell
5. Beautiful Lie
6. Truth
7. Another Day
8. Beauty And War
9. Dreaming
10. The Fire And The Sinner
11. Time
12. Without Fear


ラストに向かって、急にトルキ度がアップしてくる

元Stratovariusとして有名な、ティモ・トルキによるメタルオペラプロジェクト、Timo Tolkki’s Avalonの第四弾。
彼がアルバム全体をプロデュースしていたのは1stと2ndのみで、前作と今作はあまり関与していないらしい。

ティモはこのアルバムの曲の半分ほどをフロンティアーズ・レコードに提出したのみで、残りの曲の作曲とすべての曲のアレンジは、イタリアのミュージックチームが手掛けたようだ。
彼らに関してはティモはよく知らないらしく、基本的にレーベル主導で作られたアルバムのようだ。

ゲストボーカルにはジェイムズ・ラブリエ(Dream Theater)、ジェイク・E(Cyrha、元Amaranthe)、ファビオ・リオーネ(Rhapsody、Angra、Eternal Idol)、ブリトニー・スレイズ(Unleash the Archers)など、メロディックメタルファンならよく知っている顔ぶれが参加している他、意外な所ではブルース・ディッキンソンにそっくりな声で有名なラファエル・メンデス、Youtubeのメタルカバー動画で有名になったペルケイも参加している。

案外と豪華と言えるのではないだろうか?
カタリーナ・ニックスはティモとChaos Magicで組んでいたので、ティモファンにはお馴染みだろう。

楽曲レビュー

#1“The Enigma Birth”はペルケイ参加の疾走パワーメタルチューン。
類型的ではあるが掴みは良い感じだ。

#2“I Just Collapse”はカタリーナ・ニックスによるミドルテンポ曲。
いつもよりアレンジが洗練されている印象だ。

#3“Memories”もミドルテンポで、カタリーナとブリトニーが歌う。
淡々としているが、やはりブリトニーの強力な歌声に圧倒される。

#4“Master Of Hell”はブルース・ティッキンソンにクリソツなシンガー、ラファエルが歌う正統派寄りのシリアスなナンバー。
ミュージックビデオにもなっていて、まずまずの出来だ。

#5“Beautiful Lie”はEDMチックなイントロが印象的なモダンなナンバー。
まさかのビッグネーム、Dream Theaterのジェイムズ・ラブリエが歌っている。
普通に良いが、それ以上でもそれ以下でもないという感じがする。
今作の曲は良い仕事をしているが、どうも魂を感じない、というのが多い。

#6“Truth”は元Amarantheのジェイク参加曲。
この曲もアレンジがモダンで、確かにティモっぽくはない。
サビが中々いい感じである。

Phantom Eliteというバンドに在籍しているブラジルのシンガー、マリーナ・ラ・トラッカによるバラード#7“Another Day”に続く#8“Beauty And War”は、モロにStratovariusを彷彿とさせる曲。
この曲のイントロはStratovariusのMillion Light Years Awayにそっくりではないか?
シンガーはラファエルが担当。

ファビオ・リオーネ参加の地味なミドルテンポ曲#9“Dreaming”に続く#10“The Fire And The Sinner”はブリトニーとジェイクによるバラード。
壮大な雰囲気にキャッチーなサビと、良曲だ。
この辺りに来て、やっとアルバムがティモ・トルキらしくなってくる。

#11“Time”はマリーナの歌う爽やかな雰囲気のパワーメタルナンバーで、中々カッコいい。
やはりこの曲もアレンジがモダンだ。
このアルバムの中ではフックのあるサビを持ったナンバーだと思う。

ラストを飾るのはファビオの歌う#12“Without Fear”
これはモロにストラトなパワーメタルナンバーで、絶対ティモ・トルキの曲だと思う。
この既聴感のあるリフは、正にトルキ節である。

総評

ティモ・トルキの作品にしては何処か洗練されているのは、プロデュースを行ったイタリアのミュージシャンチームの影響だろう。
洗練されてはいるがティモ・トルキ度は薄く、フックの弱い曲が多い印象だ。
メタルとしての興奮度が低いのである。

勿論ある程度のクオリティは保っているが、私が聴きたいのはアーティストが魂を込めて作った作品なのだ。
作品に魂が込められているかいないかは、いくら見かけのアレンジを良くしてもちゃんと音と向き合えば分かるものである。

次はティモが魂を込めて作ったアルバムが聴きたいと思った。
しかしラストに向かって、急にトルキ度がアップしてくるから面白い。

このアルバムにマジックはないが、メロディックメタルファンにとっては中々豪華な顔ぶれが参加しているので、彼らの歌唱を聴くだけでも楽しめる作品ではある。

点数

80点

お気に入り曲

The Fire And The SinnerとTime

コメント

タイトルとURLをコピーしました