Stratovarius – Destiny[オリジナルアルバム全レビューシリーズPart1-7]

  


1. Destiny
2. S.O.S.
3. No Turning Back
4. 4000 Rainy Nights
5. Rebel
6. Years Go By
7. Playing with Fire
8. Venus in the Morning
9. Anthem of the World


ティモ・トルキの作曲の成熟を感じさせるメジャー感のあるアルバム

前作で成功を収め乗りに乗っているStratovariusがその勢いのままに作り上げた7thアルバム。
究極のパワーメタルアルバムVisionsの先の音世界、洗練された音世界がここにはある。

楽曲レビュー

1曲目から大作ナンバーでスタートするという挑戦的な姿勢を見せていて、ここから彼らの自信が窺える。
その1曲目“Destiny”が強烈にフックのあるメロディが次々と展開される名曲である。
退屈なパートは一切なく、5人の演奏のパワーとアンサンブルをたっぷり堪能することが出来る。
子供の声のコーラスを使用したり、シンフォニックな要素を強め始めていることがこの曲から分かる。

#2“SOS”はシングルになったキャッチーなパワーメタルナンバーだ。
巧みなアレンジはティモ・トルキの作曲が洗練され始めてきたことを物語る。
フィンランドのチャートで2位を記録し、ミュージックビデオも作られた。

コティペルトがハイトーンボイスで頑張っている、いかにもStratovariusらしいリフを伴い疾走するパワーメタルチューン#3“No Turning Back”に続く#4“4000 Rainy Nights”は注目すべきナンバーだ。
ミドルテンポで少し明るい雰囲気は、これまでのStratovariusらしさはあまりない。
これまでのように臭みのあるベタなメロディではなく、洗練されたメロディとアレンジで聴かせる新しいタイプの曲である。
こういうメジャー感のある曲が出来るようになったことは、バンドの成長を物語っている。

#6“Years Go By”や#7“Playing with Fire”、#8“Venus in the Morning”からもそのことが窺える。
以前のStratovariusには北欧の田舎っぽさがあり、それがB級感を醸し出していたが、このアルバムではそれが完全に払拭されている。

ラストを飾る大作ナンバー#9“Anthem of the World”はシンフォニックなイントロのメロディが印象的な強力な楽曲。
子供の声のコーラスを使い、平和的な雰囲気を演出している。
サビはキャッチーだし、文句の付けようがないキラーチューンだ。

総評

アレンジが洗練され、メジャー感が一気にアップしたアルバムだ。
これまでのStratovariusに比べると雰囲気が明るいアルバムで、北欧の田舎っぽい叙情性が好きだった人からすると何かが違うと思うかもしれないが、これは成長と見るべきだろう。
人は成長しなくてはいけないだ。
ティモ・トルキの作曲の成熟を確かに感じることの出来るアルバムだ。

音楽の方向性的に見ると、ネオクラシカルな要素は薄まり、逆にシンフォニックな要素が強まっている印象だ。
子供の声のコーラスを多く使っていることからもその志向性は窺える。
ヒーリングミュージック的でさえある癒しを感じる瞬間もあり、色々な意味で何かが変化していることを感じさせる作品でもある。

実力者揃いのメンバーによる巧みな演奏は相変わらず際立っているし、捨て曲はないし、悪い所のないアルバムである。
#1“Destiny”は彼らの名曲の一つであることは間違いない。
しかし意外と印象に残っている曲は少ないアルバムでもある。
ちょっと綺麗すぎるのかもしれない。

アルバムはフィンランドのチャートで1位を記録し、バンドは更に勢いづく。

点数

88点

コメント

タイトルとURLをコピーしました