絶対に聴くべきパワーメタルの名盤10選

パワーメタルとは日本ではメロディクパワーメタルとか、メロディックスピードメタルと呼ばれるヘヴィメタルのサブジャンル。
日本のアニメソングにも通じるような分かりやすいメロディと、ダブルベースドラムによるパワーと疾走感が融合したその音楽は、今でも世界中で根強い人気がある。

いつその音楽が生まれたのか正確に捉えることは不可能だし、従来のヘヴィメタルとの境目が曖昧な部分もかなりある。
しかしHelloweenKeeper of the Seven Keys: Part I&IIが示した音楽性が後進を刺激しインスピレーションを与え、その後のムーブメントの礎となったというのは誰もが認める所だろう。

今回はそのパワーメタルの歴史の中で、絶対に聴くべき名盤10枚を独断と偏見で選出した。
あのアルバムがないこのアルバムがないと異論はあると思うが、完全に個人の意見なので許して欲しい。

パワーメタルを良く知らないが聴いてみたいという人には、非常に良いリストになっていると思う。
パワーメタルファンでももしこのリストの中に聴いていないアルバムがあったら、人生を損している可能性があるので是非聴いてみて欲しい。

Helloween – Keeper of the Seven Keys: Part I&II (1987&1988)

 
メタラーにとっては言わずと知れた、ドイツのパワーメタルバンドが1987年と1988年に発表した名盤中の名盤。
パート1とパート2は2枚組ではなく別アルバムで発表年も違うが、セットでないとこの音楽の魅力が最大限に伝わらないので2枚で1つとした(元々パート1とパート2はセットで2枚組で発売される予定だったが、レコード会社からの反対により別々に発表された)。

このアルバムが後のパワーメタルの歴史の扉を開いたと言っても過言ではないだろう。
ダブルベースドラムのアグレッシブさと、高揚感のあるキャッチーなメロディを、それまでのヘヴィメタルと融合させた音楽性はすべてが新鮮だった。

新たに加入したマイケル・キスクの伸びやかな歌唱は、その音楽の魅力を余すことなく伝えている。
このアルバムを聴いていなければ話にならないという程の重要なアルバムだ。

もう一つ重要な要素はRise and Fallに代表されるように、このバンドにはそれまでのシリアスなメタルバンドにはなかったファニーな要素が含まれているということ。
その要素は後のEdguyやFreedom Callに受け継がれていく。

エンタメ性、歴史的な意味においてもこのアルバムは突出している。

Sonata Arctica – Ecliptica (1999)


フィンランドの若きパワーメタルバンドが1999年に発表した衝撃のデビューアルバム。
その音楽性は疾走するヘヴィメタルにキャッチーなメロディを融合し、そこに北欧らしいナイーブさ、ネオクラシカル要素を加えたという感じのもので、アイディアは完全に同郷のStratovariusを元にしていたが、楽曲のクオリティが突出していた。

1曲目のBlank Fileから心を掻きむしるような尋常ではない美旋律に鳥肌が立つ。
そのテンションは最後まで続き、捨て曲は一切ない名盤中の名盤。
このアルバムによりSonata Arcticaは新世代パワーメタルバンドの旗手に。

Stratovarius – Visions (1997)


奇跡の名盤Eclipticaを生み出したSonata Arcticaのトニー・カッコが、パワーメタルをやるきっかけとなった作品。
トニー・カッコが1997年にこのアルバムを聴き衝撃を受けて、バンドの音楽性を変更したという。
それも納得で、Eclipticaに入っている要素がこのアルバムにもたくさん入っている。

疾走するダブルベースドラムとクラシカルなメロディを融合した音楽性は、ハロウィンmeetsイングヴェイと評されることもある。
この頃は凄腕ドラマーのヨルグ・マイケルと、イングヴェイのバンドで活躍していたイェンス・ヨハンソンが加入していて、アレンジ面でマジックが起きている。

バンドが油に乗っている時期の名盤である。
ティモ・コティペルトの儚さを内包した歌声は、この音楽を表現するのにピッタリだ。

Angra – Temple of Shadows (2004)


ブラジルのパワーメタルバンドAngraが2004年に発表したアルバム。
11世紀の十字軍をテーマに作ったオリジナル小説が歌詞のベースになっている、所謂コンセプトアルバム。

Angraの音楽性はパワーメタルにクラシック、ラテン音楽を融合させたもので、唯一無二のものである。
このアルバムはメタルのカタルシスを備えているということは言うまでもなく、芸術性も神懸っていて、アルバムを聴き終えた後に一つの良い小説を読み終わったかのような不思議な疲労感と、満足感を得ることが出来る。

Rhapsody – Legendary Tales (1997)


突如イタリアから登場したシンフォニックパワーメタルバンドの1stアルバム。
このバンドの登場は衝撃的で、生の弦楽器を使用したその大仰な音楽性は、とてもオリジナルなものであった。
パワーメタルとしての攻撃性も忘れていなく、アルバム全体に高揚感が満ち溢れている。

そのやりすぎな程のドラマティックさを武器として、EMERALD SWORD SAGAというオリジナルの物語を描いていて、世界観にも徹底的に拘っている。
ファビオ・リオーネのオペラティックでありつつパワーもある歌声も素晴らしく、あらゆるレベルで突出しているバンドであった。

Heavenly – Dust to Dust (2004)


フランスのパワーメタルバンドが2004年に発表した、ヴァンパイアになってしまった男を主人公ににしたコンセプトアルバム。
扇情的なメロディが強烈なバンドで、このアルバムを聴くとその強烈なメロディにいつも昇天してしまう。

2001年に発表したSign of the Winnerも明快な劇的パワーメタルで素晴らしいが、このアルバムはアレンジ、曲構成ともにレベルが上がり、よりスケール感の増したパワーメタルを聴くことが出来る。
ヘブンリーの決定盤と言えばこのアルバムだろう。

Sabaton – The Great War (2019)


スウェーデンのパワーメタルバンドが2019年に発表した9thアルバム。
デビュー以来戦争を歌詞のテーマにするということを貫いているバトルメタルバンド。
本作は第1次世界大戦をテーマにしたコンセプトアルバム。

トミー・ヨハンソン(Majestica)が参加してから初のアルバムで、よりメロディックになったスーパーキャッチーなヘヴィメタルは孤高の域に達している。
欧州で絶大な人気を誇るのも納得の名盤である。

Nightwish – Oceanborn (1998)


フィンランドの国民的シンフォニックメタルバンドが1998年に発表した2ndアルバム。
現在ではその大仰なシンフォニックサウンドで知られる彼らだが、2ndアルバムではHelloween等に影響を受けたシンフォニックパワーメタルをやっていた。

ボーカル、ターヤ・トゥルネンによるオペラティックな歌唱、クラシカルな旋律、シンフォニックなキーボードにパワーメタルの要素を加えたサウンドは唯一無二。
ツォーマスの若々しい演奏が冴え渡る、ドラマチックさと耽美さとパワーを備えた名盤で、捨て曲は一切ない。

Powerwolf – Blessed & Posessed (2015)


ドイツのパワーメタルバンドが2015年に発表した6thアルバム。
彼らは暗黒司祭と吸血鬼と狼男によるバンドというコンセプトを持ち、白塗りのメイクをしていて、見た目はブラックメタルをやりそうな感じだが、Sabatonに通じる強烈にキャッチーなメロディが印象的なパワーメタルをやっている。

この6thアルバムにて楽曲の充実度は最高潮に達していて、パワーメタルファンにとって幸せな時間がアルバムの最後まで続く名盤である。
難しいことは考えずに楽しもうぜ、というようなエンターテイメント性を備えたバンドだ。

Silent Force – Worlds Apart (2004)


ドイツのパワーメタルバンドが2004年に発表した3rdアルバム。
正統派メタルの影響が色濃いながらメロディはドラマティックで、このアルバムには強烈なパワーメタルソングが何曲も収録されている。

硬派なサウンドの上に乗るD.C.クーパーのシリアスな歌声は、より音楽に緊張感を与えている。
所々で入るクラシカルなフレーズが素晴らしく(引用メロディもかなりある)、このアルバムをスペシャルなものにしている。

ドラマチックなヘヴィメタルが好きならチェックしておくべき名盤だ。

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