Stratovarius – Infinite[オリジナルアルバム全レビューシリーズPart1-8]

  


1. Hunting High and Low
2. Millennium
3. Mother Gaia
4. Phoenix
5. Glory of the World
6. A Million Light Years Away
7. Freedom
8. Infinity
9. Celestial Dream


洗練さに加えポピュラリティまで獲得した、バンドのクリエイティビティが頂点に達した作品

フィンランドのパワーメタルバンドStratovariusの8枚目のスタジオアルバム。
良質な楽曲を多く収録したファンからも評価の高いアルバム。
彼らが圧倒的なポピュラリティを獲得したことが音を聴くと伝わってくる。
それを明らかに示しているのが1曲目に収録されている名曲“Hunting High and Low”だろう。

楽曲レビュー

“Hunting High and Low”は希望的な雰囲気とポップさ、キャッチーさを備えた、ライブ映えする彼らの代表曲である。
このポピュラリティはストラトの新しい魅力で、この曲に凝縮されている。

コティペルトも無理をしない音域で歌っていて、声の魅力がより引き出されている。
ストラトが元来持っているメロディの良さと、前作で得た洗練さがここに結実している。
この曲はシングルカットされ、フィンランドのシングルチャートで4位を記録した。

攻撃的なギターとドラムのコンビネーションによるパワーメタルナンバー#2“Millennium”に続く、地球はまだ救えると歌うバラード#3“Mother Gaia”も名曲である。
展開の多い大作系バラードだが、どのパートのメロディにも魅力があるので引き込まれる。
途中ピアノとコティペルトの歌だけになるQueenっぽいパートがあったり(ここがたまらなく好きである)、後半はどんどんシンフォニックになったりと、大仰な曲である。

これらの2曲のように、疾走パワーメタルナンバー以外でキラーチューンが書けるようになったことはバンドの成長を物語っている。

勿論このアルバムはパワーメタル系ナンバーも素晴らしい。
#4“Phoenix”はヘヴィなリフによるパワーメタル系ナンバー。
ドラマティックなサビのメロディが印象的である。
イェンスの個性的なソロも入っている。

イェンスと言えば#5“Glory of the World”は凄いことになっている。
イェンスのペンによるネオクラシカルパワーメタルナンバーだが、イントロから彼のソロが炸裂。
間奏もソロ、アウトロもソロ(というかメロディリフ)と、キーボードソロのお祭りのような曲で、彼の演奏をたっぷり堪能出来る。
まるで彼が自分のソロを披露するために書いたような楽曲だが、イェンスのファンにはたまらないし、楽曲自体もキャッチーで、このアルバムの見せ場となっている。

#7“Freedom”も明るい雰囲気のパワーメタルソング。
希望に溢れるメロディに歌詞と、この曲を聴くと元気が湧いてくる。
ギターとキーボードによるソロバトルも入っていて、聴き所たっぷりである。

#6“A Million Light Years Away”は前作収録の4000 Rainy Nightsの方向性と近いメジャー感のあるミドルテンポナンバー。
洗練されたアレンジはオシャレ感すら醸し出す。
ミドルテンポの曲でも良い曲が書けるようになったのは素晴らしい。
間奏のメロディも印象的である。
この曲はシングルカットされ、フィンランドのシングルチャートで14位を記録している。

アルバム表題曲の#8は荘厳な雰囲気で始まる大作ナンバー。
色々と展開する曲で、サビのInfinityと歌うメロディが耳に残る。

アルバムは心温まるメロディによるアコースティックバラード#9“Celestial Dream”で幕を閉じる。
ストリングスも入っている美しい曲で、アルバムを穏やかな心で聴き終えることが出来る。

総評

前作で獲得した洗練さと、ストラトが元来持っているフックのあるキャッチーなメロディが融合したアルバムである。
これは一つのパワーメタルのスタイルの完成系と言えるだろう。
前作から引き続き明るい雰囲気で、マイナー臭は一掃され、彼ら流の洗練されたパワーメタルは職人の域に入ってきている。

元気の出る良い曲がたくさん入っているアルバムで、大好きなアルバムである。
疾走パワーメタル系の楽曲以外の充実が、この時期のバンドのクリエイティビティが高いことを示している。
これらの楽曲はアルバムに良い起伏を生み出していて、聴いていてあっという間という感じのアルバムだ。
退屈な瞬間がないからこそ、聴いていてあっという間なのだ。

いつもある哀感漂うバラードがないのが意外だが、それがなくてももう十分ということか。
アルバムはフィンランドで1位を記録し、日本でも29位にランクインした。

点数

90点

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