Burning Witches – Dance with the Devil[新作レビュー][2020]

スイスで結成された、ド直球のヘヴィメタルを演奏するガールズバンドの3rdアルバム

Destructionのシュミーアがプロデュースする、スイスで結成されたガールズ正統派ヘヴィメタルバンドBurning Witchesの3rdアルバム。
ボーカルにオランダのシンフォニックパワーメタルバンドのShadowriseのローラが正式メンバーになってからの初のアルバムとなる。
ボーカルの声質的にBattle Beastを彷彿とさせるが、このバンドはより正統派ヘヴィメタル寄りで、よりクラシックメタルの匂いを感じさせる。
往年のJudas Priest、Iron Maiden、Acceptの雰囲気である。
ジャケットのダサいデザインもこれ以上ない程にヘヴィメタルで、ヘヴィメタル愛に満ち溢れたバンドである。

楽曲レビュー

イントロのThe Incantationから繋がって始まるLucid Nightmareは掴みばっちりのパワーメタル系の曲。
ツーバスドラム、金切り声とヘヴィメタルの魅力が詰まっている。

アルバム表題曲のDance with the Devilはこのアルバムでは明るく、80年代のキャッチーなハードロックのフィーリングを持ったアリーナロック的な雰囲気のある曲。
キャッチーなのでミュージックビデオになったのも納得。
しかしあくまでもこれはヘヴィメタルで、ポップになりすぎていないのがミソ。

メロディアスなサビを持ったWings of Steel、硬質なギターリフが印象的なSix Feet Undergroundを挟んでの6曲目Black Magicは、メロディアスで穏やかな雰囲気のバラード。
ボーカルは他の曲とは違い感情豊かに歌い上げていて、その歌唱力が本物であることを証明している。

The Sisters of FateはAcceptっぽい無骨なリフを持った曲で、クラシックメタルの雰囲気を匂わせる。
彼女達のルーツはやはりこの辺なのだろう。

重厚なミドルテンポ曲Necronomiconを挟んでの10曲目The Final Fightは、メロディアスなパワーメタル系の曲。
ボーカルの声質が似ていることもあり、キャッチーなサビはBattle Beastを彷彿とさせる。
ツインギターのハモリによるメロディリフが印象的なナンバーだ。

Threefold Returnも重厚なミドルテンポ系の曲で、こういう曲を随所にしっかりと入れてくるところはやはり正統派のヘヴィメタルバンドらしい。

Battle HymnはManowarのカバーで、重厚で勇壮な雰囲気のミドルテンポ曲。
原曲は知らないが、彼女達の曲と言われても違和感ない程他のオリジナル曲とマッチしている。
ちなみにこの曲では、Symphony Xのマイケル・レポンドがベース、元Manowarのロス・ザ・ボスがギター・ソロでゲスト参加している。

総評

純度100%直球ど真ん中のヘヴィメタルアルバムである。
メンバーが女性であるというだけで、やっていることは完全に男臭い正統派のヘヴィメタルだ。
しかし意外とメロディアス寄りでもあり、キャッチーなギターフレーズがそこかしこで聴けるのが良い。
所々で入るメロディアスなギターソロのことで、それが秀逸であり、楽曲のアクセントになっている。

新ボーカルはメタルらしい金切り声的な歌い方をしているが、#6のようなバラードを歌っても普通に上手い。
Battle Beastのノーラと似たような器用なタイプである(最初に書いた通り声質も似ている)。

アルバム全体としてはパワーメタル、ミドルテンポ、メジャー感のある曲、メロディアス系、リフで主張する曲、バラードと、様々なヘヴィメタルのタイプの楽曲がバランス良く配置されているのが好印象で、アルバムを最後まで飽きることなく聴かさせてくれる。
勿論演奏もしっかりと安定している。

女性バンドということを差し引くとこれといった個性があるバンドというわけでないが、楽曲はしっかりしているし、ヘヴィメタルとして隙がない。
メロディアスな正統派メタルが好きなら十分に楽しめる好盤と言える。

点数

82点