1. Eagleheart
2. Soul of a Vagabond
3. Find Your Own Voice
4. Fantasia
5. Learning to Fly
6. Papillon
7. Stratofortress (instrumental)
8. Elements
9. A Drop in the Ocean
ティモ・トルキのスピリチュアルな世界観が反映されたパワーメタルアルバム
ティモ・トルキとティモ・コティペルトのソロ活動もあり、彼らとしてはブランクの大きいおよそ3年ぶりに発表された9thアルバム。
Elementsと題されたアルバムは2部作となっていて、こちらはパート1。
パート2は同じ年の11月にリリースされている。
メンバーは変わっていないが、少し変化を感じさせる作品だ。
楽曲レビュー
勿論お約束のナンバーはいくつか収録されている。
まずは前作に収録されていたHunting High and Lowと同タイプの、キャッチーでポップなメジャー感溢れるパワーメタルソング#1“Eagleheart”に触れておこう。
ポジティブなフィーリング溢れるこの曲は、フックのあるメロディを持っている魅力的な曲で、アルバムの掴みとしてバッチリだ。
この曲はシングルとなりフィンランドのチャートで2位を記録し、ミュージックビデオも作られた。
お約束の疾走パワーメタルチューンは#3“Find Your Own Voice”と#5“Learning to Fly”。
どちらの曲もティモ・コティペルトがはち切れそうな程のハイトーンを披露していて、切迫感を感じさせる。
どちらもフックのあるメロディを持った佳曲である。
#3はストラト最速レベルに早い曲だ。
そんなお約束ナンバーを収録しつつも、このアルバムのイメージを印象付けているのはその他のバラードやミドルテンポの曲だ。
#2“Soul of a Vagabond”は長尺でストリングスが大胆に取り入れられたミドルテンポ曲。
クワイヤも入っていて、このアルバムの重厚な雰囲気を印象付ける曲だ。
#4“Fantasia”はイントロから今までにない程スピリチュアルなムードを醸し出す。
壮大でピースフルな大作ナンバーで、このアルバムを象徴するような曲だ。
シンフォニックな要素も強く、ティモ・トルキの内側に秘めている世界観が強く押し出されている。
途中アップテンポでヘヴィになったりと、色々と展開する曲でもある。
歌詞は世界平和への願いをイメージさせ、トルキ的にも重要な曲なんだろうということを感じさせる。
#6“Papillon”もこのアルバムを象徴するようなバラードだ。
冒頭の女性声によるボーカルパートからスピリチュアルな雰囲気を強く放っている。
イングヴェイライクなネオクラシカルインストの#7“Stratofortress”を挟んでのアルバム表題曲#8は壮大な雰囲気の大作ナンバー。
クワイヤを大胆に取り入れていて荘厳だ。
アルバムはアコースティックギターとストリングスによるバラード#9“A Drop in the Ocean”で幕を閉じる。
波の音が入っていて、ヒーリングミュージック的要素を感じさせる。
これらのミドルテンポ、バラードの曲が、このアルバムのスピリチュアルなイメージを印象付けている。
総評
ティモ・トルキの内省世界が強く押し出されたスピリチュアルな要素の強いアルバムだ。
そういう意味で少しDreamspaceの頃の雰囲気に戻ったような印象もある(しかしあの頃のB級感はない)。
世界観を構築するためにオーケストラやクワイヤを大胆に導入していて、過去最高にシンフォニックなアルバムでもある。
しかし今回ミドルテンポの曲の出来はそんなに良くなく、アルバムを通してハッとする瞬間が案外と少ない。
バンドの確変終了か?と思わせられるアルバムの出来である。
勿論勝ち確のメンバーを揃えていることもあり、パワーメタルアルバムとして高いクオリティを維持していることは間違いない。
かなり高いレベルの水準での話である。
ティモ・トルキがこのアルバムをStratovariusのベストアルバムと言っていたことがあったが、ティモ・トルキの世界観が反映されているから思い入れが強いのではないだろうか?
点数
86点
お気に入り曲
Eagleheart
コメント