Stratovarius – Episode[オリジナルアルバム全レビューシリーズPart1-5]

  


1. Father Time
2. Will the Sun Rise?
3. Eternity
4. Episode
5. Speed of Light
6. Uncertainty
7. Season of Change
8. Stratosphere (instrumental)
9. Babylon
10. Tomorrow
11. Night Time Eclipse
12. Forever


超強力な布陣になって初めて製作された、黄金時代の到来を告げるアルバム

キーボードのアンティとドラムスのラッシーラを解雇し、新たにイングヴェイのバンドなどで活躍していたキーボードの名手イェンス・ヨハンソン、ドイツの凄腕ドラマーであるヨルグ・マイケルを迎えて制作された5thアルバム。
突如超強力な布陣となり、ここに来て完全にB級メタル感を払拭することに成功。
完全に世界レベルのパワーメタルサウンドを聴くことが出来る。

楽曲レビュー

違いは1曲目のFather Timeから明らかだ。
新加入のヨルグのパワーのあるドラムが冴え渡る強力なパワーメタルソングである。
ここまで演奏のパワー感を感じる曲はそれまでのStratovariusにはなかった。
キャッチーなメロディを歌うコティペルトの技術も洗練され始めている。

ストラトらしいネオクラシカルパワーメタルナンバー#2“Will the Sun Rise?”も素晴らしい。
新加入のイェンスのキーボードソロが冴え渡る。
聴くだけで彼の演奏だと分かるその個性は唯一無二だ。

#5“Speed of Light”もイェンスのソロ、ヨルグのパワフルなドラムが冴え渡る疾走ネオクラシカルパワーメタルの強力チューンだ。
これらの楽曲は、明らかにStratovariusのパワーメタルが新たな領域に突入したことを示している。

アルバムの最後に収録されている北欧の叙情溢れるバラード#12“Forever”も素晴らしい。
ヴァイオリンが美しく、コティペルトの儚げな声質はこの曲はピッタリとハマっている。

総評

しかし本作には問題点もある。
たくさん収録されているミドルテンポの曲の出来が今一つなのだ。
これらはそれぞれが似ていて冗長な曲が多く、集中力に欠ける印象だ。
#1、#2、#5のように良い曲はとことん良いが、これらのミドルテンポの曲がアルバムの足を引っ張っているように感じる。

収録時間62分のうち、多くの時間がこれらの冗長なミドルテンポの曲に使われていて、アルバムを通して聴くのは正直きつい。
荘厳な雰囲気を醸し出す#3“Eternity”、叙情的な#7“Season of Change”、オリエンタルな雰囲気漂う#9“Babylon”など、個々の楽曲を聴くと悪くはないのだが、曲調が似ていてアルバム自体が単調になってしまっているのだ。
3rdアルバムDreamspaceでは比較的多彩な曲作りを披露していたティモ・トルキだけに、何故こうなってしまったのかと問いたい。

しかしそれを差し引いてもキラーチューンの存在は大きく、Stratovariusがネクストレベルに到達したという意味で重要なアルバムであることは間違いない。
新加入のヨルグの冴え渡ったドラムと、イェンスのキーボードソロはティモ・トルキの楽曲のポテンシャルをより引き出すことに成功している。
新加入の二人の功績が大きいアルバムと言えるだろう。
演奏が大幅に強化されているのだ。
アルバムとしてのバランスは非常に悪いが、それらのキラーチューンを聴けるだけでも価値のあるアルバムだ。

この強力な布陣により、Stratovariusは黄金時代を築くこととなる。
アルバムはフィンランドのチャートで21位を記録している。

ちなみにこのアルバムからティモ・コティペルトが多くの曲で歌詞を書いているようだが、正直歌詞はトルキのほうが良いと思う。

点数

85点

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