Stratovarius – Elysium[オリジナルアルバム全レビューシリーズPart1-13]

  


1. Darkest Hours
2. Under Flaming Skies
3. Infernal Maze
4. Fairness Justified
5. The Game Never Ends
6. Lifetime in a Moment
7. Move the Mountain
8. Event Horizon
9. Elysium


マティアスの功績が大きい生まれ変わったモダンで知的なパワーメタルサウンド

フィンランドのパワーメタルバンドStratovariusの13thアルバムで新体制による第二弾。
前作は過去のストラトサウンドを模倣している印象があったが、今回は吹っ切れたのかモダンでプログレッシブで知的な独自のパワーメタルを追及している。
この方向性に向かわせたのは明らかにアルバムの大半の曲(9曲中6曲)を書いている前作から加入したギタリストのマティアス・クピアイネン。
彼のインプットが非常に大きく、ストラトのサウンドが大きく生まれ変わっていて、新鮮なアルバムだ。

楽曲レビュー

まずアルバム冒頭の3曲の流れが素晴らしい。
#1“Darkest Hours”はシングルになったクールでキャッチーな歌メロが印象的な、マティアスのペンによるメロディックメタルナンバー。
かつてのストラトにはなかったモダンなフィーリングを持っている。
新生Stratovariusの良い所が凝縮された挨拶代わりの1曲で、掴みはバッチリである。

キャッチーなパワーメタルナンバーで、プログレッシブでシンフォニックなアレンジが新鮮な#2“Under Flaming Skies”に続く#3“Infernal Maze”はかなりの名曲。
所謂ネオクラ要素の入ったパワーメタルナンバーだが、マティアスのモダンでプログレッシブなセンスが注入されていて、過去のストラトにはない新たな魅力を放っている。
単純にサビが素晴らしく、退屈な瞬間のないマティアスのセンスが光るキラーチューンである。

この冒頭3曲の素晴らしい流れが、このアルバムの印象を良くしている。
アルバムの後半にも強力な楽曲が収録されている。

その一つが#8“Event Horizon”。
これも所謂ネオクラシカルパワーメタルナンバーだが、つい聴き入ってしまう緊張感が楽曲に満ちている。
マティアスとイェンスも弾きまくりで、バンドの勢いを感じることの出来る曲だ。

ラストを飾るStratovarius史上最長のナンバーの大作#9“Elysium”も素晴らしい。
3曲を一つにまとめたような曲で、パート1~3に分かれている。

パート1はミドルテンポで地味な感じだがパート2がカッコイイ。
このパート2のサビがかなり印象的で、この曲のテーマとなるメロディになっている(このメロディはパート3でも使われるのだ)。
リフもかなりモダンでプログレッシブで、過去のストラトとかなり違う新鮮さがある。

パート3はバラードで、パート2のサビを違うアレンジで聴かせる。
ここに3つの曲を一つにまとめた意味があったのかと気付かされる。
良い出来で、感動的な雰囲気でアルバムを聴き終えることが出来る。

総評

総評としては中盤に地味な曲が続くものの、冒頭3曲とラスト2曲の流れが強力なアルバムだ。
その強力な楽曲がすべてマティアスによって書かれていることが、彼の才能を示している。
かなりマティアスに頼っているアルバムでもあり、マティアスさまさまである。

前作にもあったプログレッシブでモダンな要素を更に突き進めたようなアルバムで、明らかに前作の進化系と言える。
洗練されすぎてティモ・トルキ時代のようなベタなメロディはなくなり、普通のメタルバンドになった感もあるので賛否は分かれるかもしれないが、もうティモ・トルキはいないわけで同じような路線でよりいいものを作れるとも思えなく、新しい彼らの方向性には100%賛同出来る。
これだけのクオリティの楽曲を提示されたら昔のファンも納得するしかないのではないか。

久しぶりにフィンランドのチャートで1位を獲得し、人気の高さを証明した。
ちなみに長年在籍していたドラマー、ヨルグ・マイケルが参加した最後の作品でもある。

点数

86点

お気に入り曲

Darkest Hours、Infernal Maze、Elysium

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