[レビュー]Bloodbound – Creatures of the Dark Realm[新作]

  


2021年5月26日発売


1. The Creatures Preludium
2. Creatures Of The Dark Realm
3. When Fate is Calling
4. Ever Burning Flame
5. Eyes Come Alive
6. Death Will Lead The Way
7. Gathering Of Souls
8. Kill Or Be Killed
9. The Gargoyles Gate
10. March Into War
11. Face Of Evil
12. The Wicked And The Weak


ミドルテンポで歌をじっくり聴かせる作風

スウェーデンの6人組パワーメタルバンドBloodboundの9thアルバム。
2005年のデビューから約2年おきにアルバムを出し続けてきた精力的なバンドである。

メイン・ソングライターのフレドリック・バーグ(Key)はStreet Talkというメロディアスハードロックバンドをやっていたり、Joe Lynn Turner、Bonfire、Anette Olzonなどに曲提供をしたりと多方面で活躍しているミュージシャンである。

2019年にはEvoken Festで初来日も果たしている。
新作はどうなっているのか?

楽曲レビュー

アコギとストリングスによるイントロである#1“The Creatures Preludium”に続く#2“Creatures Of The Dark Realm”はミュージックビデオも作られた、モダンなkeyアレンジで聴かせるBloodboundとしては新鮮な曲。

間奏ではフォーキッシュなメロディも取り入れられている。

BLOODBOUND – Creatures Of The Dark Realm (2021) // Official Music Video // AFM Records

↑ Creatures Of The Dark Realmのミュージックビデオ。

#3“When Fate is Calling”はフックのあるメロディを持った、シンフォニックなアレンジが施されたミドルテンポ曲。
サビではコーラスが幾重にも重ねられていて、重厚感を醸し出す。
歌詞は戦士が戦いに向かう時の心境という所か。

#4“Ever Burning Flame”は明るい、Helloweenタイプのメジャー系パワーメタル。
Eagle Fly Freeをちょっと彷彿とさせる。
フォーキッシュなフィーリングもあるのでそこはBloodboundらしい。

#5“Eyes Come Alive”は中近東系の音階によるリフが印象的な曲。
AメロとCメロではパトリック・ヨハンソンがロブ・ハルフォードばりのハイトーンボイス(ヘッドボイス)を聴かせる。
サビではアグレッシブさを失わずに、シンフォニックに、オペラチックに聴かせる。

#6“Death Will Lead The Way”はサビでシンフォニックなコーラスを伴ってダブルベースドラムで疾走するパワーメタルらしい曲。
まるでRhapsodyのようである。

#7“Gathering Of Souls”はミドルテンポで、重厚なコーラスを伴った曲。
あまりメタルらしいアグレッションはなく、メロディアスハード的な雰囲気がある。
メロディのフィーリングは少しEdguyからの影響も感じさせる。

#8“Kill Or Be Killed”はフォーキッシュさを前面に押し出したミドルテンポ曲。
キャッチーなメロディのサビが印象的である。

#9“The Gargoyles Gate”も疾走パワーメタルチューンだが、この曲も間奏ではフォーキッシュなメロディが顔を出す。

#10“March Into War”はSabatonを彷彿とさせる重厚なミドルテンポナンバー。
歌詞は戦争に向かう兵士についてのようで、ここもSabatonらしい。
サビでは明るめのメロディが使われていて、Aメロ、Bメロとの対比で曲に広がりが感じられるのが良い。

#11“Face Of Evil”はダンサブルなキーボードアレンジで聴かせるミドルテンポ曲。

#12“The Wicked And The Weak”はフォーキッシュなメロディで疾走する典型的なBloodboundのパワーメタルソング。
メロディのフックが素晴らしく、このアルバムのベストチューンかもしれない。

総評

ヘヴィメタルとしてのアグレッション、興奮度としては薄いが、メロディの良さとアレンジの完成度で聴かせる作品である。
意外と早い曲も多く、そういう曲ではメタルとしての激しさを感じることが出来るが、基本的にはミドルテンポで歌をじっくり聴かせる作風である。

歌メロを中心に据えた曲作りをしていて、メロディを大切にしているのが伝わってくる。
どの曲にもたっぷりとコーラスが重ねられていて、シンフォニックで大仰なのも特徴だ。

北欧民謡的なフォーキッシュなメロディもたくさん取り入れられていて、これがこのバンドの個性となっていると感じる。
メロディアスな、クオリティ重視のパワーメタルを聴きたい人にはおすすめ出来る作品だ。

ちなみに日本盤のボーナストラックにはライブ音源が2曲入っているが、これは2018年にチェコで行われたMasters Of Rock Festivalに出演した時のものである。

点数

85点

お気に入り曲

Ever Burning Flame, Kill Or Be Killed, The Wicked And The Weak

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