Five Finger Death Punchの新作「F8」レビュー

  


1. F8 (Intro)
2. Inside Out
3. Full Circle
4. Living the Dream
5. A Little Bit Off
6. Bottom of the Top
7. To Be Alone
8. Mother May I (Tic Toc)
9. Darkness Settles In
10. This Is War
11. Leave It All Behind
12. Scar Tissue
13. Brighter Side of Grey


安定のFFDP節がしっかり刻まれている、アメリカで売れるヘヴィメタルアルバムの最高峰

アメリカの脳筋グルーヴメタルバンドのニューアルバム。
ドラマーがチャーリー・エンゲンに代わってからの初のアルバムとなる。
全米No.2を何度も獲得し、過去4作品がプラチナを獲得しているアメリカの超人気バンドである。

アグレシッブなグルーヴメタルパートと、キャッチーでロックっぽい普遍的なサビのコンビネーションを武器にここまで登り詰めてきた。
デビューからコンスタントにアルバムを発表し既に今回の作品が8枚目となるが、新作はどうなっているのか。

楽曲レビュー

壮大なイントロの#1“F8 (Intro)”に続く#2“Inside Out”は先行シングルとなったヘヴィでグルーヴィーなミドルテンポのロックチューン。
彼らがアメリカの一般のラジオで流されるのも納得の、キャッチーなサビを持った普遍的なナンバーだ。

そして4曲目まで強烈にキャッチーなサビを持ったグルーヴメタルナンバーが続き、彼らの曲作りの上手さに驚かされる。
#4“Living the Dream”はちょっとセンチな雰囲気もあり、これもいかにもアメリカ人が好きそうな感じである。

5曲目の“A Little Bit Off”はちょっと新機軸なナンバー。
2つのパートで構成されている非常にシンプルなナンバーだが、ロックでありつつリズムはヒップホップ的でもあり、新鮮で印象的なナンバーだ。
メタルらしさは微塵もないがオシャレな雰囲気を持っていて、一般のメタルを聴かない人にも受けそうな曲だ。

それを彼らも分かっているのか2ndシングルとなりミュージックビデオも作られた。
独特なリラックスした雰囲気がこの曲にはあり、彼らの個性が出た曲である。

#6“Bottom of the Top”はヘヴィなグルーヴメタルナンバー。
歌はちょっとラップっぽさもありチャラい雰囲気がある。
途中でバラードパートも入っている。
これも個人的にお気に入りのナンバーだ。

#7“To Be Alone”も彼らお得意のミドルテンポナンバーだが、サビがこれも相当にキャッチー。
しかしよくこれだけキャッチーなサビを量産出来るなと感心するばかりである。

良いメロディを持っているバラードナンバー#9“Darkness Settles In”に続く#10“This Is War”はほのかにヨーロッパ的テイストが感じられるメタルコアナンバー。
テクニカルなリフとグロウルボーカルのコンビネーションでメタルバンドだということを再確認。

ラップ調のヴァースなど、ニューメタルの影響を感じさせるナンバー#11“Leave It All Behind”、アグレッシブだがサビでメロウな雰囲気になる典型的なメタルコアナンバー#12“Scar Tissue”に続く#13“Brighter Side of Grey”はアルバム2つ目のバラード。
こっちのバラードのほうがよりメロディが美しく好きだ。
希望の光を感じさせるようなサビが感動的である。

総評

今回もキャッチーな曲満載で、特に前半には強力な楽曲が連続で配置されている。
2曲目~7曲目までの流れは完璧に近いと言える。

しかしこれだけキャッチーなサビを量産できるのは凄い才能である。
音楽的に大成功してきたこれまでの成功法則を崩すはずもなく、音楽性に変化は殆ど見られない。
今回も安定のFFDP節をたっぷり楽しむことが出来る。

前作制作後バンド内ではボーカルのアイヴァンのアルコール依存症が悪化し、リハビリ施設に入所するなど大変だったようだ。
その苦難を克服し、新しいレーベルに所属し、ニュードラマーを新たに迎えた心機一転のアルバムであるようだ。
しかしそれにも関わらず音楽性に殆ど変化が見られないというのは、FFDPの音楽が完全に確立されていることの証明だろう。

今アメリカで売れるメタルとはこういう音だというのを体現している作品である。
全米ビルボードチャートでは8位を記録している。

点数

87点

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