クオリティの高いバラードを持っているということは、バンドにとって非常に大きな武器になる。
バラードには一般層を取り込める普遍的な魅力があるからだ。
Aerosmithが典型的な彼らのハードロックソングだけしか持っていなかったら、あれ程人気バンドになれただろうか?
彼らはハードロックを聴かない一般層にも「これはいい!」と思わせられる、良質なバラードナンバーを持っていた(作曲が外注にせよ)。
だからこれ程までのスケール感で、人気を獲得することが出来たのだ。
Helloweenがドイツで1位を獲得する存在にまで昇り詰められた理由の一つに、バラードの存在は見逃せない。
例えば代表曲にしてバラードであるForever and Oneの存在は、Helloweenの名を世界で有名にした一つの理由だろう。
良質なバラードを数多く持っているHelloween。
筆者が独断と偏見で選んだHelloweenのベストバラード10選をお届けする。
1. A Tale That Wasn’t Right
ヴァイキー作曲でマイケル・キスクが歌うバラード。
まるで演歌のような哀愁漂うメロディは、いかにもヨーロッパ産。
歌詞の内容は女性に遊び捨てられた、若き男性の嘆きと解釈するのが自然だろう。
収録アルバム Keeper of the Seven Keys: Part I
2. Your Turn
マイケル・キスク作曲の牧歌的なバラード。
アコースティックギターがフィーチャーされていて、Helloweenらしさはなく、キスクの趣味が全面に出ている。
バンドを去ることになるのが予感される曲でもあるが、この曲自体は伸びやかなマイケルの歌声が楽しめ、秀逸。
キスクは自分で「自分はアーティストにはなれない(ただのシンガーだ)」と謙遜していたが、彼の作曲能力も見逃せない。
3. Windmill
迷走アルバムChameleonの中で一際輝きを放っている1曲。
ピアノも入っていて、徹底的に牧歌的な作りになっている。
ちゃんと聴いてみると結構作り込んでいて面白い。
完全にHelloweenとは別世界だが、こういう曲をやれる地力があるということが興味深い。
ヴァイキーはこういう曲も作れるのだ。
低音でエルヴィスっぽく歌うキスクも素晴らしく、改めて本当に凄いシンガーだと思わされる。
4. Longing
完全にマイケル・キスクの世界観が炸裂している、アコースティックギターとストリングスによるバラード。
温かみのある雰囲気ではなく、何処か寂しげで緊張感のある雰囲気が特徴。
後半はどんどんストリングスが強くなっていって、ドラマティックな展開に。
Helloweenということを考えなければ、バラードの佳曲と言える。
5. Mr. Ego (Take Me Down)
さてこの曲からアンディがボーカルを務めるバラード。
この曲はローランド・グラポウ作曲の、グランジの影響がありそうな気だるい雰囲気のバラード。
この独特な雰囲気とメロディが結構癖になる曲で、ローランドのHelloweenへの貢献も見逃せない。
歌詞は辞めたマイケル・キスクへの当て付けと言われている。
6. In the Middle of a Heartbeat
アコースティックギターを取り入れた、叙情的なバラードの佳曲。
アンディ・デリスが語るように、中低音で歌う恋愛ソング。
付き合っている彼女との距離が埋まらないことの寂しさを歌っている。
7. Forever and One (Neverland)
アンディ時代のHelloweenを代表する珠玉のバラード。
アンディ節炸裂の、強烈に印象に残る哀愁漂うサビが素晴らしい。
最近のライブではキスクとデュエットで歌っていて、これも素晴らしい。
Helloweenを偉大なバンドたらしめている、重要なバラードだと思う。
↑マイケル・キスクが正式に復帰した現在のHelloween。2人のデュエットによるこの曲も素晴らしい。
8. If I Knew
ヴァイキー作曲のドラマティックな雰囲気のバラード。
まるで演歌のような哀愁に包まれていて、正にヨーロッパ人の作ったバラードという感じ。
力強く歌うアンディの歌唱が、泥臭い印象を曲に与えている。
9. If I Could Fly
シングルになりPVも作られた、アンディ作の強力なバラード。
叙情的なサビのメロディがとにかく印象的で、ピアノによるメインリフも素晴らしい。
ライブでも定番で、この曲もHelloweenを代表するバラードと言える。
↑If I Could Flyのミュージックビデオ。
10. Light the Universe
Blackmore’s Nightのキャンディス・ナイトがゲスト参加していて、PVも作られたアンディ作のバラード。
物悲しい雰囲気の、バラードの佳曲。
しかしキャンディスはやけに低音で歌っていて音域にフィットしていなく、これなら何故歌ってもらったのか分からない。
せめて一回くらいは、比較的高音のサビをキャンディスに歌ってもらえば良かったのにと思う。
収録アルバム Keeper of the Seven Keys: The Legacy
↑Light the Universeのミュージックビデオ。
その他のHelloweenに関してのすべての記事はこちらにまとめてある。
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